指圧の原則
人の体調をコントロールしている自律神経に、交感神経と副交感神経があります。このうち「ふく」がつく副交感神経は、生命にとって主役で、消化吸収を促したり、病気を治す活動を盛んにする神経です。体調を良くするには副交感神経優位にしなければなりません。子供をしっかり抱きしめて、じっと落ち着くのを待つように、身体表面をじっくりと圧し、動かさずに身体が落ち着くのを待ちます。「身体表面に対して、垂直に、動かさずに、持続して圧す。」これが、身体を副交感神経優位に導く指圧の原則です。副交感神経が優位な身心は、リラックス効果が絶大です。精神的・身体的なストレスが溜まり身体を動かす機会が減ってしまった現代の都市生活者には最適です。
疲労感・凝り・痛み・不良姿勢の改善
精神的にストレスを感じているとなかなか眠れないものですが、それは身体も同じです。身体にとって、凝りというのはまさにストレスです。身体に歪みができている状態が凝りといえます。人の頭の重量は成人で体重の10数%(約5Kg程度)といわれています。それを支える首は小さな7つの椎骨からなる頚椎と、それを取り囲む筋肉のみです。人は重たい頭を支えるために、首から肩周りの抗重力筋を使い続けています。また、体が前に倒れないように、抗重力筋の中でも特に背筋を緊張させ続けています。姿勢と柔軟性の関係として、前かがみの姿勢を続けていると大胸筋や腹直筋が縮こまり、柔軟性が低下する。体は硬いほうに引っ張られる習性があるため、不良姿勢が定着してしまう。立っているだけ・座っているだけでも常に抗重力筋のどれかが緊張しています。他の筋肉よりも交感神経とのつながりが強いので、精神的・身体的なストレスにより交感神経を興奮させてしまうと、筋肉が過緊張状態になってしまいます。本来は抗重力筋が正常な状態にあると、抗重力筋全体がバランスを取り合い身体の歪みが修正されます。
※抗重力筋とは、地球の重力に抗いながら立位や座位などの姿勢を保持する筋肉の総称です。
私たちの日常生活において、精神的・身体的なストレスが要因で生まれる過度な筋緊張は、姿勢や動きのアンバランスを生み出して、疲労感・凝り・痛み・不良姿勢などを引き起こす原因になります。最善策は、「筋・筋膜トリガーポイント」に刺激を与えて、過度な筋緊張を緩和させることです。適切な指圧マッサージは、過度な筋緊張を緩和させて筋の伸張性を向上させ、疲労組織の血液循環と栄養状態を改善することができます。運動後の筋損傷および炎症、遅発性筋痛や疲労感の軽減に有効です。その機能を改善するだけではなく、「治療を行わなければ障害に進行する恐れがある異常を発見する機会」にもなります。