指圧とは古法按摩の現代名です。按摩は、安らかな手という意味の按と、摩(さする)手という意味の摩からできています。按には、脈をとる、抑制する、手をかける、しらべる、おさえるなどの意味が含まれています。静的な按と動的な摩との組み合わせです。按摩は、毒薬(いわゆる漢方薬)と同等の重さをもった漢方古来の治療法でした。現代の指圧は、按摩のうちで静的な方面を強調した治療法ですが、身体はこの指圧によって、疲れや病的な状態を回復する副交感神経支配へと傾きます。副交感神経支配の心身は、身体の奥底からリラックスします。
人の体調をコントロールしている自律神経に、交感神経と副交感神経があります。このうち「ふく」がつく副交感神経は、生命にとって主役で、消化吸収を促したり、病気を治す活動をさかんにする神経です。体調を良くするには副交感神経優位にしなければなりません。子供をしっかり抱きしめて、じっと落ち着くのを待つように、身体表面をじっくりと圧し、動かさずに身体が落ち着くのを待ちます。「身体表面に対して、垂直に、動かさずに、持続して圧す。」これが、身体を副交感神経優位に導く指圧の原則です。
家族での指圧は、日々の疲れをその日のうちに取り去り、疲労がつもりつもって大きな病気になるのを防ぐ力があると思います。一日分の病気を一日分癒やす。漢方で未病(発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態)を治すという、医療の理想です。とくに成人病は、生活の反省と日々の精進なしに、治療は不可能です。また、家族でなされる指圧は、家族どうしの信頼感、共感を高め、家族のきずなを太くします。
してあげる自分がリラックスして指圧をすることが大事です。親指での指圧は気持ちが良いですが、自分の指が疲れて痛くなると嫌になってしまいます。多少ポイントに当たらなくても、手のひらで押したりさすったりすると良いです。