日常生活では、重たい頭を支えるために、首から肩周りの抗重力筋を使い続けています。また、体が前に倒れないように、抗重力筋の中でも特に背筋を緊張させ続けています。姿勢と柔軟性の関係として、前かがみの姿勢を続けていると大胸筋や腹直筋が縮こまり、柔軟性が低下する。体は硬いほうに引っ張られる習性があるため、不良姿勢が定着してしまう。日常生活動作やスポーツが要因で生まれる筋緊張の左右差は、姿勢、動きのアンバランスを生み出して、疲労や痛みを生む原因になります。
【姿勢を保持する抗重力筋】
重力の作用に対抗して働く抗重力筋。下腿・大腿・腹部・胸部・首の各部前後に張り巡らされ、前後互いに伸び縮みをしながらバランスを取っています。例えば、直立姿勢をとる場合には、重力の働きによって、体幹は股関節で前方に倒れる(屈曲する)傾向にある。したがって、前方に倒れないためには、股関節を伸展する筋が働く必要があります。抗重力筋は実際に関節の運動を行うのでなく、重力に抗して姿勢を維持するために、たえず反射的に働いている場合が多い筋肉です。
「美姿勢」を意識して姿勢を正すことは、トレーニングで技を修得するのと同じです。正しい動きを繰り返し反復することによって、運動の中枢である小脳にインプットされ、定着することになります。間違った姿勢を日々繰り返せば間違った姿勢が定着し、正しい姿勢を繰り返せば正しい姿勢が定着することになります。肝心なのが土台となる「筋力や柔軟性などの体力」です。例えば正しいパンチやキックのフォームを覚えようとしても、柔軟性が低ければ動きは小さく、十分な成果が期待できません。トレーニングと同時に、適切なマッサージによって柔軟性を高めることが重要です。
技の一種である「美姿勢」において、これを修正するには日常生活で意識的に正しい姿勢を保つ時間を長くすることが重要です。いかにそうしようと思っても特に背筋、大胸筋や腹直筋の柔軟性が低いと、徐々にそちらに傾いて不良姿勢をとってしまいます。いわゆる巻き肩・猫背・反り腰です。そのため、トレーニングと同時にマッサージによって硬くなってしまった筋肉の柔軟性を高める必要があるのです。
意識すれば改善する不良姿勢は「機能的不良姿勢」といって、正しい姿勢の反復と適切なマッサージによって修正が可能です。しかし、この機能的不良姿勢が何十年も続いてしまうと、骨の形、関節の構造自体が変化してしまう「構造的不良姿勢」という状態に変わってしまいます。こうなると、もう意識やマッサージでは修正は不可能です。取り返しがつかなくなる前に修正のきく段階で、美姿勢を意識したトレーニングとマッサージによって機能的不良姿勢の改善を目指します。