『エネルギーは食べ物から』
食べ物には、ごはん、肉、野菜、果物と色々な種類があり、簡単に分類すると以下内容となります。
①エネルギーのもとになるもの→糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質
②血や肉、骨のもとになるもの→タンパク質、ミネラルなど
③身体の調子を整えるもの→ビタミン、食物繊維など
『筋肉の筋線維には2種類ある』
筋は筋線維からできています。そして筋線維には遅筋線維(slow線維、赤筋線維)と速筋線維(fast線維、白筋線維)という2つに大別できます。
※また速筋線維は、さらに遅筋線維に近い性質を持ったものとそうでないものに分けることもできます。
遅筋線維
遅筋線維はミトコンドリア(細胞内小器官)が多く、酸素を取り込むミオグロビン(myoglobin、筋細胞内にある鉄を含んだ色素タンパク質、酸素の貯蔵庫)も多く、また周りには、酸素を運び二酸化炭素などを除去する毛細血管も多くあります。つまり酸化を利用してATP(アデノシン三リン酸)を作る能力が高い筋線維です。一方では、力が弱いという特徴があります。乳酸の代謝についていえば、乳酸を使う筋線維ということになります。
速筋線維
速筋線維はミトコンドリア(細胞内小器官)が比較的少なく、太くて力強いという特徴があります。ただしミトコンドリアが少ないので、持久的運動には向かない筋線維です。瞬発的な力を発揮するような筋線維で、乳酸の代謝でいえば乳酸を作る筋線維ということになります。加齢によって筋肉が減少する割合は、遅筋線維よりも速筋線維のほうが大きい!つまり、瞬発的な力を発揮する速筋線維のほうが老化の影響を受けやすい。
「糖」と「エネルギー源」
運動するということは、エネルギーを使っているということです。そして、エネルギーは糖や脂肪が分解されるということでまかなわれます。糖や脂肪のどちらかだけでエネルギーが作られているということはありません。糖と脂肪とが共に使われています。糖からエネルギーが得られる過程の途中で乳酸ができます。乳酸が多くできるということは、糖が多く分解され利用されているということです。脂肪がエネルギー源として利用されるためには糖質(炭水化物)が必要なので、脂肪の利用が少なくなっているということです。
糖というのは、主として筋肉や肝臓にグリコーゲンという形で蓄えられていますが、その貯蔵量は多くはありません。例えばマラソンを走り抜くには足らない程度の量しかありません。そのため、マラソンのような長い時間の運動を続けていると、糖が足りなくなってきます。糖が「ある」「ない」というのが、血液での糖(グルコース)の濃度、血糖値にも現れます。肝臓のグリコーゲンがなくなってくると血糖値が下がります。脳では糖が主たるエネルギー源なので、血糖値がかなり下がってくると、脳のエネルギーが運ばれなくなり意識がもうろうとしたりで、脳がうまく機能しなくなります。また糖がなくなってくれば、糖からエネルギーを得ることもできなくなります。そのため、多く乳酸ができる状態、糖が多く使われる状態の運動は、長く続けることができません。
乳酸というのはダッシュしたときなど、強度の高い運動をしたときに多く作られます。酸であるということは、多く溜まると酸性になる可能性があるということです。体内は中性に保たれています。それが乳酸が多く作られると、乳酸の作られた筋肉を中心として体内が少し酸性になっていきます。ただし体内にはそうした酸性になることを防ぐ機構もかなりあるので、酸性になるといっても僅かな程度です。水素イオン濃度(pH)でいうと、普通体内のpHは7.4くらいです。それがpH6.5の弱酸性に低下するといった程度の変化です。血液ではpHが7.0より下がることはまずありません。これまでは乳酸が溜まると「弱酸性に筋内がなる」という視点から疲労が説明されてきました。そしてあまりに「乳酸=酸性」という点から疲労が理解され、「乳酸が溜まった」というフレーズが疲れたときの慣用句のようになっていました。最近では乳酸が疲労を起こすどころか、疲労した筋の力を高めるような働きがあることも多く報告されています。「乳酸は疲労を起こすのではなく、むしろ疲労するような運動をしているので、疲労を防ぐために乳酸ができている」乳酸は疲労物質ではありません。最近では乳酸は筋力トレーニング効果を高めるようなシグナル因子であることが報告されています。